2012年 02月 26日
音楽小説 |
ライヴに行けない不満を無意識のうちに埋め合わせようとしたのか、立て続けに読んだ小説2冊がたまたま音楽関係だった。田中啓文さんの『獅子真鍮の虫』と津原泰水さんの『ブラバン』、毛色は異なるが両書とも大変面白かった。両作家とも自分と同世代なので聴いてきた音楽にも重なるところがあり、なんやかやと感慨深かった。それにこのお二人はご自分で楽器の演奏もなさるのですよね。
『獅子真鍮の虫』は「永見緋太郎の事件簿」の3冊目。とりあえず永見シリーズはこれにていったん終了とのこと。啓文さんにしてはめずらしく駄洒落もグロ表現もなく、さわやかな読後感のジャズ愛にあふれた佳品揃い。またいつか書き継いでいってほしいなあ。
『ブラバン』は刊行時にかなり話題になった作品なので、なぜ今頃読んでいるのかといぶかる向きもあろうかと存じますが、私は『綺譚集』あたりから津原さんすごい! と認識しはじめたSFホラー幻想小説好きなので、青春小説と銘打ってある本書はついつい後回しになっていたのですよ。広島弁が実にいい味出してる。これだけ登場人物が多く、かつ、現在と高校時代が交錯するにもかかわらず、ひとりひとりしっかり描き分けられており、ちゃんと映像が浮かぶのがすばらしい。各章タイトルが曲名になっていて、個人的にはⅦ章が「I.G.Y.」なのがうれしかった。
『獅子真鍮の虫』は「永見緋太郎の事件簿」の3冊目。とりあえず永見シリーズはこれにていったん終了とのこと。啓文さんにしてはめずらしく駄洒落もグロ表現もなく、さわやかな読後感のジャズ愛にあふれた佳品揃い。またいつか書き継いでいってほしいなあ。
『ブラバン』は刊行時にかなり話題になった作品なので、なぜ今頃読んでいるのかといぶかる向きもあろうかと存じますが、私は『綺譚集』あたりから津原さんすごい! と認識しはじめたSFホラー幻想小説好きなので、青春小説と銘打ってある本書はついつい後回しになっていたのですよ。広島弁が実にいい味出してる。これだけ登場人物が多く、かつ、現在と高校時代が交錯するにもかかわらず、ひとりひとりしっかり描き分けられており、ちゃんと映像が浮かぶのがすばらしい。各章タイトルが曲名になっていて、個人的にはⅦ章が「I.G.Y.」なのがうれしかった。
by come-and-go
| 2012-02-26 23:58
| 読む