2011年 02月 25日
『どーなつ』『空獏』『レイコちゃんと蒲鉾工場』を読む |
昨日に引き続き、昨年読んだ本について。今日は北野勇作さん特集だよ。
「人工知熊」というモビルスーツに入って作業する男たち。人間の脳のパターンをアメフラシに転写して火星に送り込み、テラフォーミングしようとする女科学者。地球人はいつのまにか異星人となり、どこからどこまでが自分なのかわからなくなる。そして何だかワカラナイモノと永遠に戦う羽目になる。
『どーなつ』なんて甘いタイトルで、西島大介描くカバーイラストはかわいらしいし、語り口がやわらかく、電気熊の夜のダンスなど詩的なイメージにあふれているので、一見童話風に思えるが、騙されてはいけない。実はこわーい話。かわいい彼女、田宮麻実はマッドサイエンティストじゃないか!
カバーに描かれているレコードは普通のLPで、ドーナツ盤ではないように見えます。あ、いま出ているのは緑のクマちゃんなのね。
獏の中で夢を見て生きることを選んだ人々は、獏が不安になって戦争の夢をみるようになったせいで、謎の敵と戦う羽目になる。ささやかな幸せな生活の夢をオマケにつけてもらって徴兵に応じる人々。なさけなくマヌケな戦争と獏と西瓜が織りなす9つの短篇と10の掌篇。
全体に夢の中なのでふわふわしている。自分の記憶に自信が持てないというのはアイデンティティ崩壊の危機だな。戦争というのは夢の中だろうと現実だろうと確たる生活実感が希薄になる非常事態なのだな。ふわふわじわじわ悲しくやるせない。
蒲鉾といえば、亡くなった祖母は長年小田原の蒲鉾の老舗に勤めていた。これは本当の話。卵を割るときは殻にくっついた白身もちゃんとこそげ取るようにしないと。大した量じゃないと思うかもしれないが、何十個何百個と割るとだいぶ違ってくる、と子どもの頃に言われたことを思い出す。
本書では、シリコン基板にたんぱく質をのせた蒲鉾が制御不能となり怪物化して人間を襲う。おお、のんびりしているがかなりホラー的展開。豚盛主任とぼく(甘酢君)は蒲鉾工場の係長に特殊事件調査検討解決係に任命され、危険な任務を押しつけられる。おお、かなりベタなコメディ的展開。
レイコちゃんが出会った、金管楽器らしきものを持っている動物のエピソードがよかったなあ。まさしくインプロ・セッションの楽しさ! 一生大切に憶えておきたいキラキラした未知との遭遇体験。
一見、昭和レトロほのぼのドラマのようだが、実はこれも悲しく切ない話。
「人工知熊」というモビルスーツに入って作業する男たち。人間の脳のパターンをアメフラシに転写して火星に送り込み、テラフォーミングしようとする女科学者。地球人はいつのまにか異星人となり、どこからどこまでが自分なのかわからなくなる。そして何だかワカラナイモノと永遠に戦う羽目になる。
『どーなつ』なんて甘いタイトルで、西島大介描くカバーイラストはかわいらしいし、語り口がやわらかく、電気熊の夜のダンスなど詩的なイメージにあふれているので、一見童話風に思えるが、騙されてはいけない。実はこわーい話。かわいい彼女、田宮麻実はマッドサイエンティストじゃないか!
カバーに描かれているレコードは普通のLPで、ドーナツ盤ではないように見えます。あ、いま出ているのは緑のクマちゃんなのね。
獏の中で夢を見て生きることを選んだ人々は、獏が不安になって戦争の夢をみるようになったせいで、謎の敵と戦う羽目になる。ささやかな幸せな生活の夢をオマケにつけてもらって徴兵に応じる人々。なさけなくマヌケな戦争と獏と西瓜が織りなす9つの短篇と10の掌篇。
全体に夢の中なのでふわふわしている。自分の記憶に自信が持てないというのはアイデンティティ崩壊の危機だな。戦争というのは夢の中だろうと現実だろうと確たる生活実感が希薄になる非常事態なのだな。ふわふわじわじわ悲しくやるせない。
蒲鉾といえば、亡くなった祖母は長年小田原の蒲鉾の老舗に勤めていた。これは本当の話。卵を割るときは殻にくっついた白身もちゃんとこそげ取るようにしないと。大した量じゃないと思うかもしれないが、何十個何百個と割るとだいぶ違ってくる、と子どもの頃に言われたことを思い出す。
本書では、シリコン基板にたんぱく質をのせた蒲鉾が制御不能となり怪物化して人間を襲う。おお、のんびりしているがかなりホラー的展開。豚盛主任とぼく(甘酢君)は蒲鉾工場の係長に特殊事件調査検討解決係に任命され、危険な任務を押しつけられる。おお、かなりベタなコメディ的展開。
レイコちゃんが出会った、金管楽器らしきものを持っている動物のエピソードがよかったなあ。まさしくインプロ・セッションの楽しさ! 一生大切に憶えておきたいキラキラした未知との遭遇体験。
一見、昭和レトロほのぼのドラマのようだが、実はこれも悲しく切ない話。
by come-and-go
| 2011-02-25 23:55
| 読む