2013年 04月 28日
日本橋で妖怪奇譚を観る |
日本橋高島屋にて「―妖怪奇譚― 金子富之展」を拝見。いきなり巨大な「世界蛇」に迎えられる。そしてもっと巨大なうねる黒い炎のような絵。魔術的リアリズム骸骨の肖像。画面全面に怨念が降る絵。この人の絵はwebで「首かじり」を見たのが最初だったか。体中から蚯蚓が生えてる絵。
おびただしい数のノート見開きカラーコピー。「ニネンゴニセイコウスル」とか「元気が出てきた」と小さな字でみっしりノートを埋め尽くすように書いてある。言霊による祈り。蛇や魚や骸骨を埋め尽くすように描かれた文様は、耳なし芳一の体に書かれたお経と同じく魑魅魍魎の住まう異界とこの世を隔てる結界であり、万一これがほころびたら、妖怪どもが異界からこちらに侵入してきてしまうから、それを防ぐためにも隙間なくみっしり描いて空間を埋め尽くす必要があるのだ。金子富之の絵では文字も文様も同じ機能を果たす。
回向院では津波で被災した東北のお寺に送る仏像の台座に納める記帳に署名を集めていた。名前を書いた文字によって祈念が伝わるという考え方と、写経や呪詛、金子富之の絵のなかの文字と文様はすべてつながっている。
by come-and-go
| 2013-04-28 23:57
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